日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文24巻2号

ラット褐色細胞腫由来PC12培養細胞の神経性ニコチン性アセチルコリンレセブターチャネルに対するニテンピラムの作用

永田啓一,青山絵芙,池田朋子,正野俊夫

日本農薬学会誌 24, 143-148 (1999)

ニテンピラムの作用メカニズムをイオンチャネルレベルで明らかにするために,ラット褐色細胞腫由来PC12培養細胞のニコチン性アセチルコリンレセブターチャネル(AChR)に対する作用をシングルチャネルパッチクランプ法によって調べた.ニテンピラムの単独処理によって複数のコンダクタンスを持つシングル電流を発生させたことから,同殺虫剤は神経性ニコチン性AChRに対してアゴニストとして作用していることが示された.ニテンピラムをアセチルコリンと同時処理したところ,メインコンダクタンス電流の頻度は減少し,サブコンダクタンス電流の頻度は増加した.シングルチャネルパラメータの変化より,ニテンピラムはアセチルコリンによって発生するシングルイオンチャネルの開頻度を減少させることが示された.以上の結果からニテンピラムのイオンチャネルレベルでの作用メカニズムは,ニコチン性AChRに対し単独ではアゴニスト的に作用し,アセチルコリンの存在下ではアンタゴニスト的に作用することが明らかとなった.


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