日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文24巻2号

新規オキサゾリジンジオン誘導体の合成と除草活性

平井憲次,矢野智行,松川智子,鵜飼貞行,長戸松陰,堀 正大

日本農薬学会誌 24, 156-169 (1999)

置換フェニルイソシアネートと2-ヒドロキシ-3-アルケン酸エステルとの反応により,3位に種々の置換フェニル基を有する5-アルキリデン-1,3-オキサゾリジン-2,4-ジオン誘導体を合成し,それらの除草活性を調べた.その結果,これらオキサゾリジンジオン誘導体の除草活性は,主に3位フェニル環上の置換基と5位アルキリデン基の影響を受けることが判った.特にフェニル環2位と4位にハロゲン原子を有し,5位にアルコキシ基を有する化合物が高い活性を示し,オキサゾリジン環5位のアルキリデン基上に炭素鎖の長い置換基を導入すると活性は低下した.また,作物に対する安全性はフェニル環5位の置換基によって大きく影響を受け,特にシクロペンチルオキシ基の導入はイネに対する薬害を大幅に軽減させた.評価試験の結果に基づき,合成した一連の化含物群の中から,3-(4-クロロ-5-シクロペンチルオキシ-2-フルオロフェニル)-5-イソプロピリデン-1,3-オキサゾリジン-2,4-ジオン(KPP-314)を新しい除草剤開発候補化合物として選抜した.このKPP-314は,プレ及びポスト土壌処理により,150〜450ga.i./haの低い薬量で,ヒエや多くの1年生水田雑草に対して優れた除草活性を示し,かつイネ/ヒエ間の幅広い属間選択性を有するものであり,KPP-314を有効成分とする新しい水田用除草剤の開発に至った.


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