日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文24巻3号

アゾール系殺菌剤メトコナゾールとその関運アゾリルメチルシクロアルカノール誘導体の構造活性相関

伊藤篤史,最勝寺俊英,熊沢 智,中馬 寛

日本農薬学会誌 24, 262-269 (1999)

シクロペンタン環を基本骨格とするアゾール系殺菌剤メトコナゾール,(1RS, 5RS; 1RS, 5SR)-5-(4-クロロベンジル)-2, 2-ジメチル-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)シクロペンタノールの誘導体として,シクロアルカンの2位が無置換あるいはgem-ジメチル基を有するシクロペンタノール,シクロヘキサノール,シクロヘプタノール類を合成し,構造と殺菌活性について検討した.その結果,シクロアルカン2位に置換したジメチル基はいずれも活性の向上に大きく寄与した.ジアステレオマー間の比較では,シクロペンタノール類とシクロヘプタノール類ではシス体がトランス体より活性が高く,一方シクロヘキサノール類の場合はトランス体がシス体より活性が高かった.シス体間の活性比較では,シクロペンタノール類とシクロヘプタノール類は高い活性を示したが,シクロヘキサノール類は前2者に比べて低かった.環の員数の違いによる活性の差を,コンホメーション解析から検討した結果,シクロアルカン構造に起因するベンゼン環とトリアゾール環の3次元空間配置と殺菌活性に相関があることが示唆された.


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