日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文25巻1号

Leaching of Several Pesticides in Andosol Upland Field under Natural Rain Conditions
自然降雨下での黒ボク畑地における数種農薬の浸透


Satoshi SUZUKI
鈴木 聡


日本農薬学会誌 25, 1-9 (2000)

黒ボク畑地において2年間,ペンディメタリン,ジメトエート,イプロジオン,リニュロン,アセフェート,プロメトリンの浸透水をポーラスカップ法で採取し,測定した.ジメトエートは,施用後短期日に深さ50〜70cmの浸透水より約10μg/lが検出されたが,消失も速やかであった.ペンディメタリンは極く微量が検出された.イプロジオンとアセフェートは浸透水より検出されたが,検出濃度は試験年度で異なった.リニュロンとプロメトリンは浸透水から検出されなかった.表層土壤中の農薬残留量はアセトン可溶性画分(ASF)と水可溶性画分(WSF)を測定した.ジメトエート,イプロジオン,リニュロンのWSF/ASF比は時間とともに減少し,浸透水中の検出濃度のジメトエート>イプロジオン>リニュロン(不検出)の順序と一致した.温度はジメトエートとイプロジオンの土壤の半減期に影響したが,浸透水検出には影響しなかった.ジメトエートとアセフェートの浸透水濃度は土壤の湿潤状態が乾燥状態よりも高かったが,イプロジオンは逆であった.しかし,累積降雨量は3農薬の浸透水濃度に影響しなかった.標準区と有機物施用区の間で,浸透水中の農薬検出量がほぼ同じであり,土壤残留量も差がなかった.


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