日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文25巻4号

エトキサゾールの毒性試験の概要



日本農薬学会誌 25, 463-467 (2000)

エトキサゾールの安全性を評価するため各種毒性試験を実施した.エトキサゾールの原体および10%フロアブルはラットおよびマウスにおける急性毒性は低く,いわゆる普通物に該当する.
 眼および皮膚に対する一次刺激性,皮膚に対する感作性では,10%フロアブルで眼に対して極軽度の刺激性が認められたのみである.
 ラット,マウスおよびイヌを用いた亜急性および慢性毒性,発がん性試験では検体投与による影響として,肝の臓器重量の増加,腫大,小葉中心性肝細胞肥大およびこれらを反映する血液生化学的測定項目の変動等が認められたが,いずれの動物種においても催腫瘍性は認められなかった.
 ラットを用いた繁殖性におよぼす影響試験,ラットおよびウサギを用いた催奇形性試験では,繁殖性におよぼす影響および催奇形性は認められなかった.
 細菌を用いた復帰変異原試験,DNA修復試験および培養細胞を用いた染色体異常試験では,いずれにおいても変異原性は陰性であった.
 薬理試験では,エトキサゾールが摂取された場合に重篤な急性中毒の発現する可能性は低いが,非常に大量に摂取された場合には可逆的な抑制性の症状が発現する可能性が示唆された.
 エトキサゾールは平成10年4月27日に10%フロアブル剤が果樹,野菜,花卉のダニ剤として登録を取得した.本剤は定められた使用方法および注意事項を遵守することにより,安全で有効な農業資材である


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