日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文26巻2号

Insecticidal Activity and Cuticular Penetration of Indoxacarb and Its N-Decarbomethoxylated Metabolite in Organophosphorus Insecticide-Resistant and -Susceptible Strains of the Housefly, Musca domestica (L.)
インドキサカルブおよび脱メトキシカルボニル代謝物の有機リン剤抵抗性および感受性イエバエに対する殺虫活性と皮膚透過性


Shigeo SUGIYAMA, Yuji TSURUBUCHI, Akira KARASAWA, Keiichi NAGATA, Yoshiaki KONO, Toshio SHONO
杉山茂勲,鶴淵裕治,柄澤 朗,永田啓一,河野義明,正野俊


日本農薬学会誌 26, 117-120 (2001)

新規殺虫剤であるインドキサカルブは,感受性系統(SRS)および有機リン剤抵抗性(R-OP)系統イエバエに対し高い殺虫活性を示したが,R-OP系統のほうがSRS系統と比較して感受性が低下しており,抵抗性比は2.5倍だった.同様の傾向は代謝物であるDCJWにおいても見られ,抵抗性比は6.1倍だった.系統間における殺虫活性の違いの原因を明らかにするために,標識化合物を用いて皮膚透過性を調べた.その結果,SRS系統に比較してR-OP系統では両化合物の皮膚透過量の減少,体内蓄積量の減少が認められた.以上のことからR-OP系統における殺虫剤に対する感受性低下は,皮膚透過性の低下が主な要因であると考えられた.また,インドキサカルブとDCJWの間で排泄量に大きな違いが認められたので,このことも化合物間で見られる殺虫活性の違いのひとつの要因となっていることが考えられた.N-(3-bromo-2-hydroxy-2-phenypropyl)-4-chloro-N-difluoromethyl-3-methylben-zensulfonamideも同様に十分な安定性と高い活性を有していた.両化合物は水田の禾本科雑草全般および一部の広葉雑草に対し強い活性を示し,かつ移植水稲に対しては薬害を示さなかった.


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