日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文26巻2号

Natural Fluctuation of Microbial Biomass and Population in Rice Paddy Soils as a Basis for Assessing the Side-Effect of Pesticides on Soil Ecosystem
水田土壌中における土壌微生物バイオマスおよび微生物数の自然変動 ―土壌生態系に及ぼす農薬の影響評価に向けて―


Kousuke SUYAMA, Yuko OKAMOTO, Kazuhito ITOH, Miho ITAMOCHI, Yasuhiro KAGAWA, Kumi FUJII, Sachiko KUMAGAI, Nobukazu KOGA, Shinji KAJIHARA, Takahiro IKUSHIMA, Hitomi MIYAMOTO, Minako AOKI, Ayako KOJIMA, Hiroki YAMAMOTO
巣山弘介,岡本悠子,井藤和人,板持美保,賀川泰弘,藤井久美,熊谷幸子,古賀伸和,梶原真二,生嶋隆博,宮本ひとみ,青木美奈子,小島亜矢子,山本広基


日本農薬学会誌 26, 127-135 (2001)

水田土壌中の微生物に及ぼす農薬の短期的影響の非日常性を評価するための基準を示す目的で,無農薬・無化学肥料水田および慣行水田土壌中の環境条件,微生物バイオマスおよび微生物数に関するパラメーターの季節的変動を2年間にわたって調査し,日常的に起こる変動の幅を明らかにした.パラメーターの変動パターンは両水田で概ね類似した.また慣行水田においても,農薬等が原因と思われるようなパラメーターの変動は認められず,湛水や落水のような両水田に共通の要因によって変動しているものと考えられた.両水田におけるパラメーターの値や変動パターンは既報ものと概ね一致し,日本の水田土壌として典型的なものであることが示された.これらのことから,両水田土壌中の微生物バイオマスおよび微生物数の変動幅は農薬の影響を評価するための基準として妥当であると考えられた.微生物バイオマスおよび微生物数の日常的な変動率は,バイオマスに関しては1週間あたり0.86から1.21倍,微生物数に関しては0.80から1.40倍であった.水田土壌微生物に及ぼす農薬の短期的影響の非日常性を評価するための基準として,それらの変動率を提案する.


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