日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文26巻3号

インダノファンの毒性試験の概要



日本農薬学会誌 26, 327-333 (2001)

インダノファンの安全性評価のため,その原体を用いて各種の試験が実施された.
いずれの投与経路においても急性毒性は弱く,皮膚一次刺激性はみられなかった.眼一次刺激性では,軽度な刺激性がみられたが,点眼後3日には回復した.皮膚感作性は,Maximization法で陽性であったが,Buehler法では陰性であった.
 反復経口投与時に発現する主な毒性は,いずれの動物種とも血液凝固阻害であり,ラットはマウスおよび犬にくらべ感受性がやや高かった.同様な影響はラット新生児においても観察されたが,成長にともない回復した.ウサギを用いた検討から,この血液凝固阻害作用は投与やめると速やかに回復し,VitaminKの投薬はその回復性を促進した.ラットおよびマウスとも発がん性は認められず,また,各種の変異原性も陰性であった.
 インダノファンは平成11年8月に農薬登録され,登録保留基準は米0.1ppmに設定された.インダノファンは定められた使用基準を遵守すれば,安全性の高い薬剤であり,農業資材の一つとして有用であると考えられる.


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