日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文26巻4号

Simple Method for Monitoring the Sensitivity of Pyricularia oryzae to Fthalide
イネいもち病菌のフサライドに対する簡易な感受性検定方法


Takayoshi EIZUKA, Tsutomu SATO, Tsuneaki CHIDA, Isamu YAMAGUCHI
永塚隆由,佐藤 勉,千田常明,山口 勇


日本農薬学会誌 26, 385-389 (2001)

メラニン生合成阻害剤(MBI)の作用は非殺菌的であることから,イネいもち病に対する感受性検定法が確立していない.セロファン膜上でのイネいもち病菌付着器のメラニン化阻害を指標として,フサライドに対する圃場分離株の感受性分布を調べた.フサライド実用化前後にあたる1976年以前に分離された農水省由来12 株中 10 株と,各県の農業試験場から提供を受けた1990年代の分離菌 110株中 79株は,セロファン膜上で付着器を形成し,付着器のメラニン化も認められた.これらの菌株に対するフサライドのメラニン化最低阻害濃度(MICAM)は,0.10〜1.5mg/l の範囲で 0.39 mg/lを頂点とする一峰性の分布を示し,分離年,分離された地域における違いは認められなかった.トリシクラゾールについても一峰性の分布が得られ,両剤のMICAM値間には正の相関が認めめられた.また,MICAMが異なる菌株をポット接触試験に供したが,これらに対するフサライドの効果に違いは認められなかった.MBl長期使用によっても,イネいもち病菌の感受性に変動は認めめられず,MICAMは,感受性変動を監視する簡便な指標と考えられる.


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