日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文27巻2号

A New Approach to the Study of Bound Residues in Plants; Incorporation of Tritium-Labeled 3-Phenoxybenzoic Acid into Cell Wall Components of Cypress
植物bound residues研究に関する新しいアプローチ;トリチウム標識された3-phenoxybenzoic acidのヒノキ細胞壁への取り込み


Takuo FUJISAWA
藤澤卓生


日本農薬学会誌 27, 136-140 (2002)

農薬の植物二次壁構成成分(セルロース,ヘミセルロース,リグニン)への取り込みにより形成されるbound residuesについては毒性評価の観点から極めて重要な問題である.特にbound residuesの経口摂取による安全性評価の精度を向上させる上で結合形式を念頭にした存在形態に関する研究は不可欠である.本研究ではヒノキ管状要素の二次壁への3-phenoxybenzoic acid (PBacid)の取り込みについてミクロオートラジオグラムを用いて検討した.その結果,PBacidは植物の代表的な二次壁構成成分全てに取り込まれ,かつその取り込み時期は各成分の沈着最盛期と一致した.また,木本植物を材料としオートラジオグラムという手法を用いることで,個々の細胞レベルで化学物質の二次壁への取り込みを可視的に追跡することが可能となった.


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