日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文27巻4号

Involvement of Adaptive Mechanism and Efflux-Transport System of Pseudomonas sp. LE2 Counteracting Insecticide Lindane
Pseudomonas sp. LE2の殺虫剤リンデンに対する適応機構と流出‐輸送システムの関与


Seon Kim,Byung-Taek Oh,Ro Dong Park

日本農薬学会誌 27, 347-352 (2002)

リンデンで汚染された環境中でPseudomonas sp. LE2がどのようにして生存するのかを理解するために,本細菌の適応機構と流出‐輸送システムを調べた.適応機構は,リンデン存在下あるいは非存在下での,グルコースを含む培地中で培養した細胞中の全飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の比の変化として説明できた.In vitroでは,リンデン(10µM)は細胞膜転移温度を約25℃ から22℃ に減少させた.リンデン存在下で培養した細胞の膜においては,減流動化効果が観測された.Pseudomonas sp. LE2をリンデン存在下で培養すると,リンデンは単純拡散機構により細胞中に蓄積した.膜輸送阻害剤であるアジ化ナトリウムはリンデンが細胞から流出するのを著しく阻害し,細胞中のリンデンの蓄積をかなり増大させた.これらの結果から,リンデン存在下において生育能力があるPseudomonas sp. LE2は飽和脂肪酸を膜脂質へ取り込み,エネルギー依存性のある流出機構によって細胞からリンデンを排泄することが考えられる.このことにより,この細胞はリンデンの流動化作用に順応できることが示唆された.


Back