日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文28巻1号

Macromolecular Insect Chitinase Inhibitors Produced by Fungi: Screening and Partial Characterization
糸状菌が生産する高分子性昆虫キチナーゼ阻害物質:スクリーニングと性状解析


Teruhiko NITODA, Hirokazu USUKI, Atsushi KURATA, Hiroshi KANZAKI
仁戸田照彦,臼木博一,倉田淳志,神崎 浩


日本農薬学会誌 28, 33-36 (2003)

昆虫の脱皮に関与するキチナーゼを特異的に阻害する化合物は有効な昆虫発育制御物質となることが期待されている.土壌および植物葉より分離した糸状菌776菌株の静置培養物を我々が確立したハスモンヨトウガ蛹キチナーゼ阻害試験に供した結果,培養ろ液中に強い活性を有する5菌株を見出した.これらの菌株が生産する活性物質はすべて昆虫キチナーゼに対して放線菌キチナーゼよりも10倍以上高い選択性を示した.また,溶媒分画,限外ろ過,熱処理,酵素処理,イオン交換クロマトグラフィーの結果から,これら活性物質はすべて水溶性の高分子化合物であり,既知のキチナーゼ阻害物質とは異なることが明らかとなった.このように,5種の菌株がそれぞれ構造の異なる新規昆虫キチナーゼ阻害物質を生産することが判明したことから,新たな昆虫発育制御物質としての開発が期待される.


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