日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文28巻3号

Preparation and Characterization of Monoclonal and Recombinant Antibodies Specific to the Insecticide Malathion
殺虫剤マラチオンに特異的なモノクローナル抗体と遺伝子組換え抗体の調製と特性


Kosuke NISHI, Yoshiro IMAJUKU, Masanobu NAKATA, Katsuya OHDE, Shiro MIYAKE, Kosuke MORIMUNE, Mitsuyasu KAWATA, Hideo OHKAWA
西 甲介,今宿芳郎,中田昌伸,大出勝也,三宅司郎,森宗孝介,川田充康,大川秀郎


日本農薬学会誌 28, 301-309 (2003)

殺虫剤マラチオンのP-S-C結合をP-NH-C結合に変えたハプテンを用いてマウスを免疫することにより,2種のモノクローナル抗体MLT2-23およびMLT40-4を単離し,それらを用いた直接競合阻害ELISA法を開発した.MLT2-23およびMLT40-4はマラチオンに特異的で,これらを用いたELISAはそれぞれ5.3〜75 ng/ml,7.0〜190ng/mlのマラチオンを測定することができた.両抗体の抗体産生細胞からmRNAを各々抽出しcDNAライブラリーを構築して,両抗体の重鎖および軽鎖をコードするcDNAクローンを単離した.各々の抗体の可変領域に関してVH‐リンカー‐VLの順に並んだHL型,VL‐リンカー‐VHの順に並んだLH型の2種の単鎖可変領域抗体(scFv)遺伝子を構築し,ファージミドpCANTAB5Eに挿入し,大腸菌に発現させた.MLT2-23の間接競合ELISAにおけるマラチオンに対するIC50値は60 ng/mlであったのに対し,MLT2-23/HL scFvおよびMLT2-23/LHscFvのIC50値はそれぞれ81 ng/ml,72ng/mlであった.一方,MLT40-4の間接競合ELISAにおけるマラチオンに対するIC50値は75ng/mlであったのに対し,MLT40-4/LH scFvのIC50値は150 ng/mlであり,MLT40-4/HLscFvはマラチオンとほとんど反応しなかった.すなわち,本抗体では可変領域の結合順序を入れ替えることによってscFvの抗原との親和性や抗原と抗体との反応性が著しく変化することが判明した.


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