日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文28巻4号

Induction of Resistance against Rice Blast Disease by a Novel Class of Plant Activator, Pyrazolecarboxylic Acid Derivatives
新規な植物免疫活性化物質であるピラゾールカルボン酸誘導体により誘導されるイネいもち病抵抗性


Masanori NISHIOKA, Hideo NAKASHITA, Hiroyuki SUZUKI, Shigeaki AKIYAMA, Shigeo YOSHIDA, Isamu YAMAGUCHI
西岡正憲,仲下英雄,鈴木博之,秋山茂明,吉田茂男,山口 勇


日本農薬学会誌 28, 416-421 (2003)

ピラゾールカルボン酸誘導体の数化合物が土壌潅注処理によりイネいもち病に対して高い発病抑制効果を示した.これら誘導体のうち,特に3‐クロロ‐1‐メチルピラゾール‐5‐カルボン酸(CMPA),3‐ブロモ‐1‐メチルピラゾール‐5‐カルボン酸および3‐クロロ‐1‐メチルピラゾール‐5‐カルボン酸メチルが高活性を有し,そのレベルは0.05mg/ポットにおいてアシベンゾラル‐S‐メチルまたはプロベナゾール以上であった.ピラゾール3位メチル基置換体および4位カルボキシル基置換体はそれらに次ぐ活性を示した.ピラゾール5位にホルミル基,アセチル基などのカルボン酸以外の官能基を導入した化合物については低活性であった.CMPAのinvitro活性については菌糸生育に対しては1000ppmで,分生胞子発芽に対しては100ppmにおいても十分な阻害活性は認められなかった.また,セロファン膜上における付着器形成阻害活性についても同様であった.さらに100ppm処理において菌糸の色素変化あるいは付着器のメラニン化阻害は認められなかった.以上の結果より,CMPAのいもち病予防効果は直接的抗菌活性よりむしろ抵抗性誘導等による間接的作用による可能性が示唆された.


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