日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文29巻1号

Tiadinil, a Novel Class of Activator of Systemic Acquired Resistance, Induces Defense Gene Expression and Disease Resistance in Tobacco
新規SAR誘導化合物チアジニルのタバコにおける防御遺伝子発現および病害抵抗性の誘導


Michiko Yasuda, Hideo Nakashita, Shigeo Yoshida
安田美智子,仲下英雄,吉田茂男


日本農薬学会誌 29, 46-49 (2004) [抄録/PDF]

植物の防御反応の一つである全身獲得抵抗性(Systemic Acquired Resistance; SAR)は,感染機構の異なる幅広い病原菌に対して効果を示す.抗いもち剤チアジニル(TDL)は,いもち病菌に対する直接の抗菌活性は弱く,植物に抵抗性を誘導していることが示唆されていた.本研究では,TDLの作用機構についてタバコを用いて解析した.TDLを灌注処理したタバコはウイルス(タバコモザイクウイルス),バクテリア(タバコ野火病菌Pseudomonas syringae pv. tabaci)に対して抵抗性を示した.しかし,TDLはP. syringaeに対して直接の抗菌活性は示さず,植物に病害抵抗性を誘導していることが示された.さらに,TDLはSARのマーカー遺伝子であるPR遺伝子の発現を誘導した.以上の結果から,TDLはSAR誘導活性を有することが明らかになり,抗いもち病活性もイネに抵抗性を誘導した結果である可能性が示唆された.


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