日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文29巻4号

Insecticidal Activity of Pyridalyl: Acute and Sub-Acute Symptoms in Spodoptera litura Larvae
ピリダリルの殺虫活性:ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)幼虫における急性および亜急性症状


Shigeru Saito, Shinji Isayama, Noriyasu Sakamoto, Kimitoshi Umeda
斎藤 茂,諌山真二,坂本典保,梅田公利


日本農薬学会誌 29, 372-375 (2004) [抄録/PDF]

新規殺虫剤ピリダリルのハスモンヨトウ幼虫に対する殺虫作用について局所施用法により調査した.処理3日後の死虫率に基づくピリダリルのLD50値は24.4 ngであった.400,100 ng/個体処理においては処理後6時間以内に死虫率100%に達したが,痙攣,苦悶などの症状は示さず,弛緩,麻痺するように死亡した.一方,25 ng/個体以下の処理では処理2日後以降生き延びた個体において処理部が暗色に変化する症状が見られ,25 ng/個体処理では処理5日後に全身が黒色になって死亡する個体が見られた.また,12.5,6.25 ng/個体処理においては脱皮後,処理部に火傷状の変性が見られた.これらの幼虫の多くは以降正常な変態ができずに死亡した.このように,ピリダリルは即効的致死量未満においてもハスモンヨトウ幼虫の正常な発育を阻害し,密度抑制に貢献することが期待された.ピリダリルの生化学的作用機構の詳細は未だ不明であるがその特徴的症状から新規のものと予想された.


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