日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文30巻1号

Oxidative Glutathione Conjugation and Its Novel Role in Activation of the Organophosphorus Insecticide Prothiofos
有機リン殺虫剤プロチオホスの活性化における酸化的グルタチオン抱合とその役割


Toru Miyamoto, Tsuyoshi Mikawa
宮本 徹,箕川 剛


日本農薬学会誌 30, 31-38 (2005) [抄録/PDF]

プロチオホスオキソン1S-オキシド2とグルタチオン(GSH)のSN2反応を計算化学で検討し,GS(EtO)P(O)OC6H3Cl2とPrS(O)(HO)P(O)OC6H3Cl2(脱エチルS-オキシド3)が2の(R)p配置からのみ生成することを予測した.一方,1を酸化条件下で抵抗性イエバエの部分精製グルタチオンS-転移酵素(GSH)と反応させると2,4-ジクロロフェニルリン酸が検出され,3in vitro反応でも生成することが分かった.脱エチルオキソン4のLD50は感受性イエバエで55 ng/♀,抵抗性イエバエで110 ng/♀で,牛赤血球アセチルコリンエステラーゼ(AChE)を酸化的に阻害する(I50, 2.8×10-5M)ことから,3も活性体であることが示唆された.32のAChE阻害構造がagingを受けた時のリン酸基に相当するが,agingほど時間がかからずAChEを阻害すると考えられる.すなわち,2のエチル基がGSHに抱合されて3を生成し,2と共にプロチオホスの殺虫活性を発現する可能性を示唆した.


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