日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文30巻4号

Identification of the Sex Pheromone of the Citrus Leafminer (Phyllocnistis citrella Stainton, Lepidoptera: Gracillariidae) with a Trial of Control by the Communication Disruption Method
ミカンハモグリガ(Phyllocnistis citrella)の性フェロモンの同定と交信撹乱法による防除の試み


Shaban Ali Mafi, Le Van Vang, Yoshihisa Nakata, Nobuo Ohbayashi, Masanobu Yamamoto, Tetsu Ando
Shaban Ali Mafi,Le Van Vang,中田恵久,大林延夫,山本雅信,安藤 哲


日本農薬学会誌 30, 361-367 (2005) [抄録/PDF]

ミカンハモグリガの処女雌抽出物をGC-EADおよびGC-MSにて分析し,ランダムスクリーニングですでに雄の誘引物質として見出されている(7Z,11Z)-7,11-hexadecadienal(Z7,Z11-16:Ald)が真の性フェロモン成分であることを確認した.第2成分の探索を目的にZ7,Z11-16:Aldに関連化合物を混合しカンキツ園で誘引試験を行ったところ,共力効果は認められず,いくつかのモノエン化合物はZ7,Z11-16:Aldの誘引活性を強く阻害することが明らかになった.さらに,合成フェロモンを用いた交信撹乱技術を確立するため,以下の2つの実験でZ7,Z11-16:Aldとその誘導体の撹乱効果を検討した.まずフェロモントラップの周囲に試験化合物を含浸させたゴムキャップを配置した.誘引される雄蛾の数はコントロールに比べ低下せず,明瞭な定位阻害効果は認められなかった.一方,Z7,Z11-16:Aldを1本当たり60 mg封入したポリエチレンチューブを圃場に配置した実験では,本種の卵や幼虫の新葉における密度低下を認めるに至らなかったが,モニタリングトラップへの雄の定位が強く阻害される結果を得た.すなわち,無処理区では7月から9月の間に一晩当たり27,127頭の雄蛾が誘引されたのに対し,1 ha当たり500本あるいは1300本のチューブを処理した圃場では,雄蛾はほとんど誘引されなくなった.


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