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Insect juvenile hormone action as a potential target of pest management
日本農薬学会誌 31, 77-84 (2006) [抄録/PDF] セスキテルペノイド骨格を有する幼若ホルモンは,昆虫に特有のホルモンであることから,その作用をかく乱することによって選択的な害虫防除が可能であると期待されてきた.これまでに,幼若ホルモン活性や抗幼若ホルモン活性を有する種々の天然化合物が見いだされており,その後の構造展開研究の結果,特に活性の高い幼若ホルモン活性物質が殺虫剤としての実用化に至っている.近年では分子生物学的な手法を用いて,幼若ホルモンの生合成および代謝にかかわる酵素群が次々に同定されているが,それら酵素のいくつかは昆虫に特有であり,他の生物にホモログがないことが明らかになってきた.今後のさらなる研究によって,これら昆虫特有の酵素に対する特異的な阻害剤のスクリーニングが可能になるばかりではなく,バキュロウイルスなどの遺伝子組み換え技術を利用して酵素作用をかく乱することも可能になると考えられ,将来の害虫防除に役立つものと期待される. |