日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文32巻3号

Reduction of dieldrin concentration in cucumber fruits using Cucurbita rootstocks and activated carbon
カボチャ台木および活性炭を利用したキュウリ果実中ディルドリン残留濃度の低減化


Yoshiko Hashimoto
橋本良子


日本農薬学会誌 32, 229-234 (2007) [抄録/PDF]

3種類のキュウリ穂木品種(シャープ1,夏すずみ,南極2号)および3種類のカボチャ台木品種(きらめき,ゆうゆう一輝,新土佐)を用いて,キュウリ果実へのディルドリンの吸収に品種間で差が生じるかを検討した.また,活性炭を土壌に施用した場合,キュウリ果実へのディルドリンの吸収量を低減する効果を示すかを検討した.キュウリ穂木の品種間でディルドリン吸収の差は認められなかったが,カボチャ台木3品種の間では,新土佐.ゆうゆう一揮.きらめきの順でディルドリン吸収が高かった.新土佐をきらめき,あるいは自根栽培に変更することによって,キュウリ果実のディルドリン残留濃度を53,34%まで低減でき,新土佐のままで活性炭フルアブル剤の25倍希釈液を10 a当たり30 l処理すると57%まで低減できる.さらに新土佐をきらめきに変更し,かつ活性炭フルアブル剤を処理すると16%まで低減できる.すでにきらめきが使われた栽培の場合には,活性炭フルアブル剤処理によって42%低減でき,自根栽培の場合にはきらめきを用いた接木栽培に変更して活性炭フロアブル剤を処理することによって低減化が可能である.東京都内で生産されるキュウリのうち,残留基準値(0.02 ppm)を超えて検出されるディルドリンの残留濃度は,ほとんどが0.04,0.05 μg/g fwであり,残留濃度を50%低減化できる方法が必要であることから,本研究によるカボチャ台木と活性炭フロアブルを組み合わせて利用する低減化方法は農業現場で利用できる可能性が高い.


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