日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文32巻3号

Action of fentrazamide on protein metabolism and cell division in plants
フェントラザミドの植物におけるタンパク質代謝と細胞分裂に及ぼす作用


Sung Jin Lim, Yukari Sunohara, Hiroshi Matsumoto
林 成振,春原由香里,松本 宏


日本農薬学会誌 32, 249-254 (2007) [抄録/PDF]

フェントラザミドは近年登録されたテトラゾリノン系の除草剤である.フェントラザミドの1 μM以上の処理ではタイヌビエに顕著な生育抑制作用を示し,50%生長阻害濃度(GR50)はタイヌビエ(1.8 μM)においてイネ(95.1 μM)より顕著に小さかった.フェントラザミド処理後のアミノ酸組成の変化はメフェナセット(細胞分裂阻害剤)よりカフェンストロール(長鎖脂肪酸合成阻害剤)の結果と類似した.しかし,イネとタイヌビエの長鎖脂肪酸への延長に及ぼすフェントラザミドの影響は2 μMでも28〜38%抑制に止まりカフェンストロールによるそれと同程度であった.また,ネギの細胞分裂にも影響はなかった.一方,アミノ酸の組成変化がタンパク質の合成の阻害によるものかタンパク質の分解によるものか検証したところ,シクロへキシミドがタンパク質合成を顕著に阻害したのに対しフェントラザミド処理では阻害がほとんどなかった.一方,フェントラザミド10 μM以上の処理タイヌビエでは84%の可溶性タンパク質の減少が起き,イネより減少率が高かった.以上のことから,フェントラザミドはタンパク質分解を起こす作用をもっているのではないかと推定した.


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