日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
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会長メッセージ


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日本農薬学会 会長  上路 雅子

   日本農薬学会は、作物保護や農薬をめぐる諸問題を考え、農薬科学の発展を目指して昭和50年(1975年)に設立され、本年(2007年)設立32年を迎えました。この間、農薬を取り巻く環境は大きく変貌し、これまで以上に、人畜に対する毒性が低く、環境に対する影響が小さい薬剤や使用方法の開発が推進されております。このような人の健康や環境に配慮した新規農薬の開発に向けた農薬科学の発展は目覚ましく、当学会も世界的に重要な役割を果たして参りました。
   当学会は、「わが国の農薬科学の発展とレベルの向上」、「農薬の安全性や環境影響に関する国民への理解促進に向けた社会的役割」を軸に活動してきました。学会誌の出版、年次大会や残留農薬分析法など各種セミナーの開催、国際学術交流集会及び農薬の安全性に関する消費者、農業生産者、農薬普及・流通関係者を対象としたシンポジウムの開催など、基本施策のもとに広範な活動を繰り広げております。特に昨年(2006年)は、本学会主催による第11回IUPAC農薬化学国際会議を、第5回京都開催以来24年ぶりに”Evolution for Crop Protection, Public Health and Environmental Safety”のテーマのもとに神戸市で開催いたしました。52カ国1,142名の参加者により、講演、ポスター発表、ランチョン・イブニングセミナー、オープンセミナー、Research Director Forum、ワークショップなどを同時開催し、会議は成功裡に終了いたしました。本会議を通し、多くの会議参加者から、わが国における農薬科学の質の高さ、会議開催のための組織力及び運営能力などに対し、極めて高い評価を得ることができました。
   今後、農薬科学のさらなる進展を図り、また、農薬に関する科学的知見の社会的合意形成に向けた努力が益々必要です。そのための施策として、学会誌や年次大会の一層の充実とレベルアップ、国際学術交流集会への積極的参加、本学会で重要な役割を担う農薬残留分析、農薬製剤・施用法、農薬環境科学、農薬生物活性、農薬デザイン、農薬レギュラトリーサイエンス、農薬バイオサイエンスの各学術小集会による活動を充実するとともに、HPを活用した会員相互及び一般社会との情報交換にむけた取り組みを強化して行きたいと思います。
   現在、東南アジアを中心に爆発的な人口増加に伴った食糧危機が懸念されています。近年の人間活動を要因とする地球環境の変動が明らかとなり、食糧の確保や生態系の保全も危惧されています。このような情勢のなかで、農薬は、安定的かつ高品質の農業生産に寄与してきており、今後も重要な農業資材として活用されるものと確信しております。さらに、食の安全・安心、生態系保全のため、国際的動向を配慮しながら、わが国の各種規制も整備されつつあります。農薬は国際的な農産物の生産や流通に深く関与しており、国際化、社会への貢献に対して産学官の協調が重要と思われます。
   日本農薬学会が農薬科学の発展を通して人類の諸問題の解決に寄与するため、皆様のご尽力とご支援、ご協力を宜しくお願い申しあげます。

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