日本農薬学会

会長挨拶

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日本農薬学会会長 塩月 孝博

 日本農薬学会第24期(2021年4月~2023年3月)の会長を務めることになりました塩月です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本学会は、作物保護と農薬関連の諸問題に対し学術・技術面から考えることで農薬科学の発展を通して、安定した農作物供給と環境保全、人類の福祉と健康へ貢献することを目的として、1975年に創立されました。この目的は国連で採択された「持続可能な開発目標」(SGDs)の中でも特に世界的な人口爆発に対し「目標2:飢餓をゼロに」に合致し、さらに環境問題に対し「15:陸の豊かさも守ろう」や「3:すべての人に健康と福祉を」にも大いに貢献するものです。その目的のために、大会やシンポジウム、7つの専門分野ごとの研究会の開催、英文および和文の学会誌の定期刊行とその他の関連図書・資料の出版、研究奨励金や海外渡航費を補助することで会員の研究支援や表彰を行い、さらに広く会員外に向けた農薬関連情報にアクセスできるポータルサイト「農薬について知ろう」の運営などの事業を行っております。

 

さて、2019年に発生した新型コロナウィルス感染拡大により、これまでに遭遇したことのない社会活動の大変化が起こりました。これは学会活動にも大きな影響を与え、2020年は大会と各種研究会の開催中止を余儀なくされました。その状況でできることを模索し、2021年にはオンラインでの大会開催に至りました。さらに参加者の地域や時間の制約が少ないリモート会議やオンライン研究会も定着してまいりました。この状況を好機と捉え、選択肢の増えた開催方法による企画も考えているところです。

 学会誌に関しては、英文誌Journal of Pesticide Science誌の論文については、中川好秋前編集委員長の多大なご苦労により 2018年からPubMedに収載、2020年から国際的なオープンアクセス学術誌要覧(DOAJ)に承認されました。レビューも充実させ、2021年1号にはInsect Growth Regulatorsの特集を掲載しました。これらの結果、国際誌としての認知度も高くなり、投稿数と閲覧数がともに増加し、インパクトファクターもております。昨今、多数の学術雑誌の公表形態の電子ジャーナル化が進む中で、本誌についても2022年からペーパーレスへ移行いたします。これにあわせて 2021年から論文体裁をリニューアルし、タイトルページのカラー化、要旨にGraphical Abstractを加え、魅力的な紙面構成となりました。なお、和文誌「日本農薬学会誌」につきましては引き続き、印刷冊子体を刊行し会員の皆様へ郵送配布いたします。会員の皆様には、今後も積極的に投稿下さいますよう、お願い申し上げます。

 

学会創立当初に比べ「農薬」に対する消費者の認識・イメージや、農業従事者に求められるもの、期待されることは変わってきており、それらに対応することも学会の使命の一つです。前者に対しては上記のポータルサイトを活用しつつ科学的な説明と情報提供を続けております。後者については"農薬科学" というキーワードを基軸に、農業環境や社会的責任の変化に応じ、分子設計・合成、作用機構、製剤・施用法、耐性・抵抗性、代謝、環境影響の多岐にわたる分野の基礎・応用において相互に連携する総合科学として取り組んでおります。特に国内の農業就業者の減少・高齢化や、地球規模での人口増加や気候変動に伴う食糧難が進んでいる現状において、農薬の使用はますます欠かせないものとなり、それを支える当学会の重要性も高まっております。

 会員の皆様には2022年から年会費の改訂をお認め頂きました。まず会員の皆様からのご意見をしっかり受け止め、これまで以上に活動内容の見直しと活性化に取り組み、お役に立てるよう尽力してまいります。それに加えて、会員数の減少を食い止めることも大きな課題です。会員の皆様には、いっそうの活動へのご参加とご支援、ご協力を頂けますと幸いに存じます。

令和3年4月